うわごと

僕のマリ

九月十四日

夏が終わった。9月になった途端きっちり涼しくなり、ゲームの世界のようだと思う。

今日はいつも通り出勤。朝刊に「藤井聡太 三冠」という見出しが。将棋は今ひとつわからないけれど、すごい。朝イチで、文筆家のIさんがご来店。モーニングのサラダを山盛りにして出したら同僚が笑っていた。Iさんはモーニングを食べてゲラを読んでいた。帰りに「出版おめでとう!」と、出版祝いをくださった。「本読んだら来たくなった」とも言ってもらえた。とても華やかな気持ちになる。自分が憧れていた人に祝ってもらえて、東京ってすごいなあと思った。文筆家としても、一人の女性としても尊敬している。

毎日くるおばちゃんが、「今日はダブル」と言ってトーストを2枚注文した。2枚のときは恥ずかしそうにしている。いっぱい食べなよと思う。昼前、ちょっとデリケートな問題が勃発したが、同僚の手腕で穏やかに事が済んだ。店というのはどんな人が来るかわからないからこそ、緊張感があるものだ。

昼休憩で担当編集の天野さんが出した日記本『八月二十九日、』を読む。人の日記を(売られているものとはいえ)こっそり読むのになんとなく背徳感を覚えるが、一気に読んだ。知らなかった過去の話も書かれていた。メンタリストDaiGoの一件に関する記述がわかりやすく、もう一度考え直すきっかけになった。あの動画はきつかった。今頃どうしているのだろうか。あと、「わたしは声が小さい」と書かれていて、言われてみればそうだな、と思って笑ってしまった。面白かったです。

 

午後は暇で、のんびり営業していた。私が好きな医者のおっちゃんや、最近子供を産んだお姉さんが来てくれた。本にも書いたが、ドライな対応の人にかなりときめいてしまう。同僚も同じ意見で、「恋愛と一緒で、お客さんのことは追っかけたい派なんだよね。追いかけられると冷めちゃう」と言っていた。本当に私たちはドライなお客さんにはデレデレで、逆に私たちに興味津々なお客さんには塩対応である。同僚は以前「女心と秋の空!」とも言っていた。彼女はかなり面白い。暇で、「生クリーム入りの紅茶飲む?」と聞かれて、「うん」と言ったら、「茶色いお砂糖も入れていい?」と聞かれた。おすすめの飲み方で飲んでほしいようだ。入れてもらって、あまーい紅茶を飲んだ。紅茶に砂糖を入れるのは何年ぶりだろう。美味しかった。

 

退勤して、書店に寄り店員さんにご挨拶した。詳しいことは端折るが、「あの店の、うちでよく文芸誌を買っているあの子が書いたんじゃないか」と推測されていたらしい。本当に偶然というか、ビビッとくるものがあったようだ。文芸書担当のお姉さんは前から素敵だなと思っていた方なので、本を読んでもらえてとても嬉しかった。このご時世であちこち出かけられないので、近場の書店で直接お礼を言えてよかった。Twitterを見ていると、読者や書店員の方が読んでおすすめしてくださっていて、ありがたいことだなあと感激している。ハートボタンを押す日々。

 

スーパーで買い物して、マスクも買い足して家に帰った。最近食への関心が高く、適当に済ませるのは嫌!という気持ちになっている。なんでもよかった頃が懐かしい。

今日は昨日持たせてもらった副菜二品と、サバと炊き込みご飯。生活綴方の、安達茉莉子さんが出演されているインスタライブを観ながら食べた。テーマは「好きな人」だったので、始終癒されていた。いま読んでいるのは『限界から始まる』と『butter』。もうちょっと読んだら寝る。