百年
13日分の疲労が溜まって昨日は泥のように眠っていた。着の身着のままで眠りこけて、起きたら21時だった。
お風呂に入ったり部屋を片付けたりして、数時間後にはまた眠った。
今日は野暮用をこなそうと思った。
化粧をして、長くなった髪を梳いて、昼過ぎに家を出た。人が少ない。
黄色い電車に乗って(改札を通る時に昔の恋人とすれ違った)、臙脂色の座椅子に身を埋めて、吉祥寺へ。
バレエシューズを買って、ボディクリームの香りを選んで、古本屋のセールへ行って、珍しい色のタイツがあったので買って、また古本屋を覗いて、無印良品で入浴剤の替えを買った。まだすべての用事をこなせてなかったが、体力が無いので喫茶店で休憩する。洞穴みたいな喫茶店が好きだ。
肉体的な疲れにはエビオス錠がいいらしいとtwitterの人が言っていたので、薬局でエビオス錠を手にとって眺めてみた。
めちゃくちゃデカい瓶だなと思っていたら、「成人1日3回、一回10錠」と書かれていて仰天した。もっとどうにかならなかったのか。
正直エビオス錠を買う気でいたのに、普段服薬している薬やサプリと合わせたら1日に40錠以上胃に流し込むことになる。それはそれでつらい。エビオス錠を1日に30錠飲む手間が肉体的疲労に勝つだろうか。しばらく薬局の前を通るたびにエビオス錠のことを考える羽目になるだろう。
残りの買い物を片付けて、雨が降ってるけど傘を差したくない一心でズンズン歩いて、買った古本が早く読みたくて晩御飯ついでにまた喫茶店に入った。
窓際の席は寒いと分かっていながら、花瓶があるので窓際を選んだ。私の一つ隣の青年の席にはアネモネが生けてあった。家の玄関にもアネモネを生けてある。
ピラフを食べる男女の物語を読んだ単純な私は、手を上げてウエイターを呼んで(この店は何故か線が細くて容姿の良い男の子しかいなくて、顔採用という噂を最近聞いた)、エビのピラフを頼んだ。
出てきた熱々のピラフは美味しかった。
適当なものばかり食べていてもやっぱり美味しいものはきちんと美味しいと思える。
食後に焼きリンゴを頼んで(むかし上野で食べた美味しい焼きリンゴ屋はどこだっけ)、リンゴをナイフで切った。手術っぽい。我ながら鮮やかな手つきだったと思う。リンゴをまるっと平らげた。
そうして本を読んで、夜が更けてきた。
外を見るとさめざめと雨が降っている。
窓に映る自分の顔を見て、バーの酔った客に「アンタ不思議な顔だな、鼻がアメリカ人みたいに尖ってるな」と言われたことを思い出した。父にも母にも似てない。
スーパーのチョコレート売り場が猛威を振るってきた。アル中の父と、ラム酒が入ったチョコが大好きなのに、下戸故に一粒しか食べられへんの、と言っていた母を思い出した。
珈琲も冷めたし帰ろう。