うわごと

僕のマリ

あたしなんかに振り向かずに輝いていて

カモミールとカンパニュラとガーベラを飾っている。芍薬はとっくに爆発して、かすみ草は枯れた。朝、職場に行く道すがら近所のジャスミンのにおいを嗅ぐ。小さな儀式のようだと思っている。

 

朝5時半に通知の音で目覚めて、10年前に好きだった人とLINEで繋がったことを知る。今更LINEを始めるのがあの人らしいなと思った。どこがどう好きだったかもよく覚えていて、10代なりに切実だった。見るからにモテそうで快活な人より、ちょっと風変わりな人のほうが気になるタイプだった。歳をとった今は、とにかく気が合う人がいいと思う。

 

明日の文学フリマには行かないことにした。現在の感染状況を鑑みての判断で、一緒に日記集を書いた伊藤さんの家には赤ちゃんもいる。むろん、出店する人を批判する気はないし、行く人を咎める気は一切ない。誰も何も悪くないと思う。コロナ禍では選択を強いられることの連続で、思考を停止してしまいたくなることもある。しかし、それでも続く生活のなかで発見した楽しみや、感情の発露、自身の変化をありのままに日記集に書いた。この日記集を書き始めて3年になるが、私の生活は目まぐるしく変わった。自分の身に起きていることについていけないままここまできたが、半分腐っていた二十代を取り戻すべく、書くことに心血を注ぐ。恥ずかしいことをたくさん書きたい。あと、今月末に植本一子さんのNEW日記本が出るので楽しみでソワソワしている。

 

大変なときもあるけど、私は元気。今日は好きなお客さんたちに元気をもらって(好きなお客さん全員大盛り)、年下の女の子に本を3冊貸して(私がその子の年の頃に読みたかった本)、お惣菜を買いに行きたい気持ちをグッと堪えて自炊した。毎週、誰かしら友人が勤務先に遊びに来てくれるので癒されている。来てくれるとうれしい。

 

乗代雄介さんの『旅する練習』が三島由紀夫賞を受賞したとのことで、本当にうれしい。大好きな小説で、事あるごとに人に勧めている。『ミック・エイヴォリーのアンダーパンツ』に収録されているパンチライン「陰毛浮き過ぎ記念公園……チン毛で和紙でも作る気か」という一文を見た時の衝撃は忘れられない。この本も人に貸したいのだけど、645ページあるので貸すのに勇気がいる。誰か読みたい方いたら声かけてください。

 

苺を食べて、今日の日記を書いたら眠る。

日記集『何月何日2』は5月16日0時から販売致します!どうぞよろしくお願いいたします。