醒めない
明け方4時に起きて、スピッツを聴きながら青白い顔でブログを書いている。
ここ最近ずっと打ち込んでいたことが終わってほっとする反面、少しの寂しさが残った。
文学フリマ東京、ありがとうございました。
出店者も来場者も過去最多で、人の多さにめまいがしそうだったけれど、静かな熱気を感じてとっても楽しかった。
初めて会った人、画面越しに知っていた人、友人、文学フリマで知り合った人、憧れていた人が、入れ替わり立ち替わり訪れた。
一生懸命話そうとしたけれどうまく話せなくてもどかしかった。
それでも、勇気を出して来たと言う女の子の赤い目や、初めて会った人の震える手を見ていたら、緊張しているのはわたしだけじゃないと思った。
サインをくださいと言われたり握手を求められたり、2冊買ってくれた人がいたり、すごく変な感じだったけれど全部嬉しかった。
差し入れもたくさん頂いた。
動物モチーフのお菓子、犬のぬいぐるみ、ミルクが多いチョコレート、手紙、わたしが好きな花が入った花束。好きだと公言したわけじゃないのに入っていた、大好きな紫のスターチスを見た瞬間に鼻の奥がツンとした。気持ちや心遣いが本当に嬉しかった。ただでさえ遠いところなのに、お金も手間もかかるのに、わたしを想ってプレゼントしてくれる人がいることが信じられないくらいだった。全部大事にします。
「いかれた慕情」は、色んな人の力を借りて出来た作品だった。
イラストに安藤晶子さん、編集と校正に河野真雪ちゃん、推薦文は豊田道倫さん。
〆切ギリギリにならないとできないだらしない性分のせいで色んな人に迷惑をかけてしまったのに、みんなわたし以上に一生懸命協力してくださった。
お忙しいなか、美しいイラストを描いてくださった安藤さん。出来上がった絵を見たときは息を呑んだ。だから、装丁に関しては自信があった。実際にそれで買ってくださった方も何人かいた。本当に素晴らしかった。こんなに鮮やかな色をつけてもらって、わたしの文章は確かに華やいだ。
二人三脚で入稿作業まで駆け抜けた真雪ちゃん。友達だったから、わたしは彼女の性格をよく知っていたから。真雪ちゃんがいつもわたしの文章を読んでくれていたのも間近で見てきたから、安心してお願いすることができた。甘えてしまって、かなり無理をさせたと思う。だけどこうやって形に残って良かった。
素敵な推薦文を書いてくださった豊田道倫さん。前作から読んでいただき、ネットプリントも「紙が似合う文章だから」と応援してくださっていた。いただいた文章を何度も読んだ。「独特だ」と言ってもらえて嬉しかった。自分という個人を認めてもらえたようだったから。別の形で表現をしている方に背中を押してもらえて、勇気がでた。
わたしはあまりにも無力で、ひとりじゃ全然できなかった。でも、誰かと何かを作ることがこんなに幸せだと思わなかった。イベント前日に届いた本を読んだとき、少し涙が滲んだ。宝物ができた。
文学フリマが終わってから心のこもった感想が続々と届いて、また泣きそうになった。雑なことは言いたくないから、時間はかかるけれど必ず返事を書きます。
手に入れた本を読むのも楽しみだ。
大好きな喫茶店でお茶をしながらゆっくり読もうと思う。
要望もいただいたので通販も開始した。
https://bokunotenshi.stores.jp
一生懸命書いたから、読んでほしい。
よろしくお願いします。
イベントが終わってから一人でビールを飲んで、ほろ酔いで帰った。昨日だけで新しい出会いがたくさんあった。ひとつひとつが、味の濃い果実のようだった。口に入れて噛んでみたら、甘くはじけた。紙袋から溢れる花束を見たら、胸が熱くなった。