呪い
26才になった。
若いのか若くないのか分からない。
アラサーと呼ぶにはまだ早いが、「若い子」と呼ぶべき年齢でもない。
身も心も成長しないまま大人になった。
もう大人だから、お酒も煙草も人並みに嗜むことができる。
もう大人だから、宗教の勧誘もキャッチもナンパも断ることが出来る。
もう大人だから、嫌いなものや肌に合わないものを意思を持って無視できる。
もう大人なのに、不注意が多くて怪我や忘れ物ばかりする。
もう大人なのに、きちんと人の目を見て話せない。
もう大人なのに、傷付くことにいつまで経っても慣れない。
幼さを携えて年を重ねてきたけれど、25才を過ぎたあたりから確実に人生が面白くなってきた。
人より出来ない事が多くて、人に言えないようなことばかりして、言葉にするのもきついことが沢山あったけれど、つらかったぶんだけ人生に色が付いたと思う。
若さを失うことが怖いと言う女性が多いけれど、わたしは寧ろ年をとるたびに少しずつ楽になっている。
わたしは若さを武器にしてさえも美しかったことなんて一度もない。
最初から何も持っていないから失うものなんてない。
ずっとちゃらんぽらんで良い。
本を読んで涙を流したり、同じ曲を何度も聴いたり、花を飾ったり、真夜中に散歩したり、映画のように、映画のように、